ご承知のように9月1日からさだまさしコンサート・ツアーを再開しました。
「まだ早いのでは無いか」「勇気では無く無茶ではないか」「万が一のことがあったらどう対処するのか」「50%の集客という採算度外視のコンサートを行う事に意味があるのか」など、スタッフからも様々な意見が出ました。 

或いは他からもそういう批判が出てくるであろう事も覚悟の上の再出発です。
さだまさしコンサートに興味を持って下さる方へ、そこに至った理由と我々の精一杯の対策をお伝えしようと思います。 


《感染症について》
本年5月以後、「風に立つライオン基金」は、福祉崩壊を防ぐ目的で、福祉・介護施設に医師と看護師を派遣し、クラスターを防ぐための感染症への知識強化、防御法、万が一の時の対処法、ゾーニングなどの勉強会を行うという『チャンポン大作戦』の活動を行っています。 

この活動に賛同してくださる医師、看護師の皆さんが沢山ご参加下さり、今はあたかも映画「アベンジャーズ」のような素晴らしいメンバーが揃っています。 

 この活動を更に強化するために感染症の専門家、殊にその道の権威の先生方にネット・ミーティングを通じての指導やアドバイスなど、お知恵やお力をお貸し願っているのですが、こういう素晴らしい先生方とお近づきになれたのを幸いに、僕は率直に「コンサートを行う」ことの危険性と安全についての勉強会を(ネット・ミーティングですが)コンサートスタッフと共に幾度も行いました。 


 《ガイドライン》
2020年9月12日の段階で、新型コロナウィルス感染症対策分科会のガイドラインでは、スポーツなど大規模イベントは5000人以下の集客、コンサートホールでは50%以下の集客、とされています。 

それに沿う形で9月1日からの「さだまさしコンサート」は定数の50%以下の集客によるコンサートを実行しています。 

 

《感染症対策》
更に以下の点をお客様にお願いしています。
入場の際にお客様への「検温」。消毒液による「靴底の消毒」。アルコールによる「手指消毒」のお願い、更に常にマスクの着用、大声を出さない、立ち上がらない、「密」を防ぐための終演後の規制退場など、数々のご不自由をおかけしています。 

また、面倒で申し訳ないことですが、念のためにお出で下さったお客様には「健康チェックシート」の記入と皆様の連絡先を伺っています。 

大切な「個人情報」ですから厳重に保管をし、何事も無い事が確認できましたら1ヶ月後に焼却処理をします。 

こんなに面倒なことを超えてまで聞きに来て下さるお客様の有り難さに胸が熱くなります。 

その分頑張って歌うわけです。

マスクを着用しており、接触さえ無ければわずかな会話程度ならば危険度は低いとされていますが油断は禁物です。 

会場の換気に関しては、コンサートホールは多くのライブハウス(今は努力して十分な換気が出来るライブハウスが増えているようですが)とは異なり、構造上、十分な換気が行われています。(更に会場によってはトークの間は扉を開ける、などの配慮をしています) 

多くの会場が、客席側からステージへと風が流れ、ステージの両側、もしくはステージの両天井方向に排出される構造ですので、仮に僕が感染者であったとしても歌う場所から最低7メートル以上、トークの際でも2メートル以上離れた風上のお客様に感染を拡げることは「理論上」はありえないとされています。 


「身体の具合が悪い」「発熱がある」「やはり行くのが怖い」というお客様へはコンサート開始前までは「払い戻し」をしていただけるよう、スタッフに指示をしています。 

これが今出来る僕らの対策の精一杯です。

《楽屋では》
普段のコンサートの楽屋裏には「ホットミール(温かい食事)」や「氷で冷やした各種飲み物」、また「差し入れのお菓子」「土地の名物」「コーヒーメーカー」「電気ポット」などを並べているのですが、今は一切を置いていません。 

楽屋裏のテーブルの上にペットボトルや缶の飲料だけが並んでいます。メンバーやスタッフは選んだ飲料を各人が保持します。 

人と分け合うこともしません。
食事も、スタッフやメンバーには、安全に作られたお弁当だけが支給されます。
僕も食べ物、飲み物は持参することにしています。
なんだか楽屋が酷く寂しいようですが、そんなことよりも「コンサートが出来る喜び」の方が我々にはずっと大きいのです。 


《決意》
新型コロナ感染症COVID-19による僕達の活動停止が6ヶ月半を超え、音楽界は絶体絶命の危機に陥っています。 

ゼロリスクはあり得ない状況の中で、考えられる限りの防御を行いながら採算度外視でもコンサートを再開するのは、「このままでは音楽が止まってしまう」と思うからです。 

僕のお客様を信頼している、というのは根拠にはなりませんが、その信頼こそが僕には最も大切なことなのです。 

今まで僕の人生を支え続けてくれた「コンサート」への恩返しでもあり、僕が《現在考えられる限り最大の防御策を使って》先陣を切り、安全に運営が出来ることを示すことで、これが我々の新しいガイドラインにもなり、後に続く仲間達の勇気に繋がれば良いと思います。 


《最も新しいガイドライン》
さて9月11日に新型コロナ感染症対策分科会から、新しいガイドラインが示されました。 

9月19日から11月末日までの間、野球やサッカーなどの大規模イベントでの集客率を5000人に留めず、50%迄の集客を認め、古典芸能、クラシック・コンサート、演劇など「観客が踊ったり大声を上げたりしないイベント」に関しては会場の定員の100%の集客を認めよう、というものです。 

但しロックコンサート、プロスポーツなどは観客が大声を上げて飛沫が拡散すると推定されるので客席定員の50%に留めるとされています。 


僕のコンサートはどれに当たるのでしょうか?
これまでの僕のお客様の鑑賞傾向を考えれば、席を離れて踊ったり、大声を上げ続けるようなものではないので、クラシック・コンサートに準ずる基準に入ると思われます。 

そうであれば、「ガイドラインに沿った形」で9月19日以後のコンサートは定員の100%の集客が認められることになる訳ですが、さてどうなることでしょうか。 


しかし冬に向かい、新型コロナ感染症の第3波などで感染が再拡大すれば「ふりだしにもどる」訳ですが、それでも今「何もしない」よりは未来にとって意味があると信じます。 

「音楽は希望なり」と信じて、一歩一歩、自分の歩幅で前へ進む決意をしています。 

どうかこのまま無事にコンサートが続けられますよう、お客様に万が一のことがありませんよう、精一杯配慮をしながら、僕自身も新型コロナウィルスに感染しないように慎重に丁寧に日常が早く戻ることを祈りながら、毎日を生きて行こうと思います。 

どうぞご理解くださいますように
          9月12日
               さだまさし