#65 「みんなのさだ」
さだまさしのデビュー50周年記念にビクターエンタテインメントが企画してくれた、トリビュートアルバム「みんなのさだ」の見本盤が今日、僕の手元に届きました。これは10月25日、満50年目に当たる「グレープのデビュー記念日」に発売になります。
企画を最初に聞いた時に「僕は内容には一切関わり合わない」と決めました。それはつまり、「こう歌って欲しい」とか「この歌を歌ってほしい」とか、「是非この人に頼みたい」というような思いを一切封印した方が僕自身も楽しみになるからです。
それでスタッフはプロデュースを寺岡呼人さんにお願いしました。寺岡呼人さんなら、さだまさしのこともよくご存知だし、さだまさしを高く評価してくださっているからです。寺岡さんは、「お祝いだから、さだまさしと親しい素晴らしいミュージシャンたちにお願いすることも考えたけれども、そうではなく、若いミュージシャンや、一見さだまさしとどう繋がるのかわからないような、しかも素晴らしいミュージシャンと一緒に作りたかった」と言ってくれています。
誰がどの曲を歌ってくれるのかも、どう歌ってくれるのかも、全く僕は知りませんでした。唯一、MOROHAのアフロ君から「こんなに原曲から離れても良いのでしょうか?」という問いかけがありましたが、僕は「原曲のイメージなどからどれだけ離れても構わない」と伝えました。だってその方が面白いじゃない?聴いてくれた方が「へえ!?この手がありましたか!?」とか「なるほど、そう来るか!」という驚きや感動につながると思ったからです。
まさにそれは「スタンダード曲の楽しみ方」そのものです。なんだか自分の歌が「スタンダード」みたいに扱ってもらえるなんて、しあわせですよね?そういう意味でも、本当に素晴らしいアルバムになったと感じます。
聴いてくださる方の中でも「さだまさしが歌った原曲」に、非常にこだわる方は、その解釈やサウンドやアレンジに戸惑うかもしれませんが、驚かずに、是非とも何度も何度も聴いてみてください。その素晴らしさに気づいていただけるはずです。
僕は常にシンガーはそれぞれが一個の宇宙だと言ってきました。実際、それぞれが広い宇宙に浮か「渦巻星雲」なのです。僕も広い宇宙の中の小さな「渦巻星雲」の一つです。ただ、このアルバムを作ってもらって感動することは、僕の宇宙を出発した「小さな歌」が「渦巻星雲」を繋ぐ『銀河鉄道の列車』となってくれたかもしれないということです。どうかあなたもこの銀河鉄道に乗車して、眼前に広がる美しく、素晴らしい宇宙に出会ってください。僕もその旅を楽しみたいと思います。
参加してくださった「偉大な宇宙」の皆さんに心から感謝します。
みなさん、本当にありがとう!!